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オプション取引・コールオプションとは?


 

本記事は2023年9月22日にCrypto Hirobaにて行った『オプション取引勉強会~オプション取引コールオプションとは?編~』で使用した資料を記事化して、オプション取引を解説するものです。

 

オプション取引以外の金融派生(デリバティブ)商品例

信用取引証拠金取引

他者から現物を借りる取引。

例えば1 ETH現物を持ってる取引所(もしくはAさん)が、それをBさんに貸し出す。Bさんはそれを1600ドルで売却し、後ほど1500ドルで買いなおしたうえでその1 ETHを返済することで100ドルが

利益として手元に残る。

※返済残高がある間、金利が発生する。強制ロスカットが発生する場合がある

無期限先物取引

期日や現渡が存在せず、資金調達率に応じた資金の交換により現物価格にペッグした商品を取引する。
※強制ロスカットが発生する場合がある

(期限のある)先物取引

決められた期限になると現渡が発生する契約を取引する取引。

例えば『2023年12月31日に1 ETHを購入します。』という契約。
10倍レバレッジで1 ETH購入するポジションを1700ドルで購入して、期限日に1 ETHが2000ドルになっている場合、300ドルの利益が出る。1 ETHが1600ドルになっている場合は100ドルの損失が出る。

⇨1 ETH分のポジションを持っていれば、期限になると1 ETH現物になる

※強制ロスカットが発生する場合がある

 

オプション取引とは

ヨーロピアンオプション

『決められた期限に対象のトークンを決められた価格で買う/売る権利』を売買する取引。

『2023年12月31日に1,800ドルで1 ETHを購入できる。』という権利を購入するなど。

  • 期日でのみ権利の行使が可能な分プレミアム(オプション価格)が安い
  • 暗号資産市場ではこちらがメジャー

アメリカンオプション

『決められた期限までに対象のトークンを決められた価格で買う/売る権利』を売買する取引。

『2023年12月31日までに1,800ドルで1 ETHを購入できる。』という権利を購入するなど。

  • 期日までの任意のタイミングで権利の行使が可能な分プレミアムが高い

⇨どちらの場合でも購入者に強制ロスカットが基本的に存在しない

💡豆知識

各名称はアメリカの経済学者サミュエルソンウォール街で聞いた「アメリカ人は難しいことが理解できないから期日のみ行使できる方をアメリカン、ヨーロッパ人の方が難しいことが理解できるから期日までの好きな時に行使できる方をヨーロピアン」としたジョークを自身の論文内でわざと逆にしたことに由来する

身の回りのオプション取引

実は身の回りにもたくさんのオプション取引が!

その代表例は、『掛け捨ての保険』

自動車保険の加入者は事故にあってしまうことにお金を掛ける

⇨事故にあってしまった場合にお金をもらう権利を購入している

💡哲学者タレスの例

著名な哲学者はその昔、天文学の知識から『来年はオリーブが豊作になるに違いない!』と考えました。そこでタレスは、農家たちへ島中全てのオリーブを絞る機械を使う権利を売ってくれと持ち掛けました。来年もし不作でも、機械を使う権利を売ったお金でなんとかなる、と考えた農家たちは権利をタレスへ売りました。

翌年、実際にオリーブは豊作となります。しかし、タレスが使う権利を握っている機械たちを使わねばオリーブオイルにすることができません。これにより、タレスは大きな利益をあげました。これが人類初のオプション取引であると言われています。

コールオプションとは?

『1週間後に1 ETHを1,700 USDTで買う権利』

このような、『○○を購入する権利』をコールオプションと呼びます。

この例での1,700 USDTという価格をストライクプライスと呼びます。

例1

例えば『1週間後に1 ETHを1,700 USDTで購入するコールオプション』を300 USDTで購入するとする。

期限日に1 ETHが2,000 USDTになっている場合、

1,700 USDTで1 ETHを購入する権利を持ってるので300 USDTの利ザヤが出ます。

しかし、このオプションの購入費用で300 USDT使ってるので損益は±0となるのです。

これにより、コールオプションにける損益分岐点はストライクプライス+取得にかかったコストであることがわかります。

例2

同じく『1週間後に1 ETHを1,700 USDTで購入するコールオプション』を300 USDTで購入するとします。

期限日に1 ETHが2,500 USDTになっている場合ではいかがでしょうか?

 

利ザヤが800 USDT、コストが300 USDTなので差し引き500 USDTの利益となります。

例3

同じく『1週間後に1 ETHを1,700 USDTで購入するコールオプション』を300 USDTで購入するとします。

期限日に1 ETHが1,800 USDTになっている場合ではいかがでしょうか?

利ザヤが100 USDTですが、このオプションを手に入れるのに300 USDTかかってるので、200 USDTの損失となります。

例4

同じく『1週間後に1 ETHを1,700 USDTで購入するコールオプション』を300 USDTで購入するとします。

期限日に1 ETHが1,200 USDTになっている場合ではいかがでしょうか?

この場合は -500-300ではなく、権利自体を行使しなければいいので、このオプションの取得にかかったコスト300 USDTのみの損失となります。

このように、オプション取引はあくまで権利の売買なので権利を行使しない方が良い場合には行使しないことができます。

コールオプションにおける損益

例1~4より、

  • ストライクプライス+取得コストの和よりETHがUSDTに対して高い場合は利益が無制限に上がっていく
  • ストライクプライス+オプション取得コストが損益分岐点となり、これ未満の場合は損失となる
  • ストライクプライス未満の時の損失=オプションの購入コストとなり、損失は限定的

ということがわかります。これをまとめると以下のような図になります。

まとめ

200 USDTで1 ETHのコールオプションを持つなど、1 ETH未満の金額で1 ETH分のポジションを持つことができる=レバレッジがかけられるにもかかわらず、損失は初期コスト以上にかかることが無いので、オプション取引では基本的に購入者に強制ロスカットが発生しません。

10倍レバレッジで強制ロスカット無しというトレードが実現できるのです。

例えば、1年後にBTCが半減期で上がってると予想するとしましょう。先物取引でロングをする場合、実際に1年後に上がっていたとしても、それまでの間に下落があればそこで強制ロスカットを食らってしまうかもしれません。しかし、コールオプションの場合、どれだけ途中下落していても最終的に1年後までに上がっていれば利確することができるのです。

オプション自体もまた現物のように市場で売買することができるので、ヨーロピアンオプションで期日まで権利を行使できないとしてもBTCが値上がりしていれば、BTCのコールオプションの価値も上がり、そこで市場での利確を狙うことができます。

 

今回はオプション取引のなかでも『攻め』のトレードでのコールオプションを解説しました。しかし、オプション取引はヘッジとして『守り』で使われることの方が比較的多くなっています(少なくとも伝統的な金融での市場では)。

 

提供:Coincall様