本記事は2023年10月19日にCrypto Hirobaにて行った『オプション取引勉強会~オプションの売りポジション編~』で使用した資料を記事化して、オプション取引を解説するものです。
プットオプションとは?ヘッジとしてのオプション?編
実は権利を提供する側になることもできる
オプションの売りは、2種類のパターンが存在します
- 持ってる(=購入した)オプションを市場で売る
- オプションを発行して市場に供給する
オプション取引は保険としてとても便利(前記事参照)、そして権利を発行して供給する側にまわることができる。
ということはつまり、保険屋さんになることができるということを意味します。
保険屋さんは期待値がプラスの保険のみを販売し、加入者はそれを理解したうえで万が一のリスクに備えて加入します。
同じように、オプション取引でも投資家は基本的に利益が上がるポジションのみを販売可能なのです。
コールオプションの売り手
コールオプションを売る = 買う権利を売る ...というとややこしいですよね。
実際ここで躓いてしまう方は多いので、覚えるより本質的な意味を理解しましょう。
オプション取引では買い手がオプションを購入するとき、実は売り手はその代金をいただいていて、買い手がETHを買う権利を行使するときには、売り手がETHを売ってあげています。
⇨つまり、オプションの買い手が利益をあげるときに売り手はそれを提供し、買い手が損失をあげるときには売り手はその分の利益を得るのです。
プットオプションの売り手
プットオプションを売る = 売る権利を売る...
これはさらにさらにややこしいですよね...。
同じように意味を理解していきましょう。
買い手がオプションを購入するときに売り手はその代金をいただき、買い手がETHを売る権利を行使するときには、売り手がETHを買ってあげる
⇨つまり、オプションの買い手が利益をあげるときにそれを提供し、損失をあげるときにはその分の利益を得るのです。
リスクとリターン
本勉強会およびこれまでのオプション取引勉強会の内容をまとめるとオプション取引の買いと売りにはそれぞれ以下のような特徴があることがわかります。
買い手:
- 利益は無制限
- 損失は限定的
- 損失を得る可能性が高い
売り手:
- 利益は限定的
- 損失は無制限
- 利益を得る可能性が高い
無限の損失との付き合い
- クローズする
売った分だけのオプションを買うことでポジションを相殺させ、クローズすることが可能 - 先物で反対ポジションを持つ
コールの売りポジションを持ってるなら先物ロング、プットの売りポジションを持っているなら先物ショートのポジションを持つことで損失を止めることができる
※ただし、オプションの売りポジションが利益ゾーンに入っても利益は限定的であるためショートポジションがそれ以上の損失にならないよう注意 - 安定化する
保険屋さんは1人にのみ保険を発行するというギャンブルはしません。
様々な保険を毎日沢山の方に販売することによって安定した利益を上げています。よってオプションも様々なものを多く/頻繁に発行することで安定した利益につなげることができます。
強制ロスカットについて
損失が無制限でもアカウント内の資金には限度があるので、基本的に損失が膨らむ場合には強制ロスカットが発生します。多くの場合は維持証拠金(MM、メンテナンスマージンなどとも表記)が残高以上になった場合に発生するというルールになっています。
ポートフォリオ例と計算
ETHの現在価格を1500 USDTのとき、
1,700 USDTで1 ETH購入するコールオプションを5 USDTで売る
1,650 USDTで1 ETH購入するコールオプションを15 USDTで売る
1,600 USDTで1 ETH購入するコールオプションを30 USDTで売る
1,400 USDTで1 ETH売却するプットオプションを30 USDTで売る
1,350 USDTで1 ETH売却するプットオプションを15 USDTで売る
1,300 USDTで1 ETH売却するプットオプションを5 USDTで売る
というポジションを持つとします。
⇩
- 総販売額:100 USDT
- 1400 ≦ 1 ETH ≦ 1600 USDTのとき、利益が最大値の100 USDTになる
- 1 ETH = 1,675 USDTのとき、コールでの売り手としての損失が50 USDT、プットでの利益が50 USDTになり、損益±0になる
- 1 ETH = 1,325 USDTのとき、プットでの売り手としての損失が50 USDT、コールでの利益が50 USDTになり、損益±0になる
⇨ ETHが1325 ~ 1675 USDTに収まれば利益が出る
つまり、このポートフォリオ単体で見ると一定期間後の値動きが一定以内に収まっていることへのベットでもあります。
このようなポジションをある程度の頻度でその日の価格を基軸に取っていくと、収支が比較的安定することになります。
ただし強いトレンドが発生するリスクがあるので期日が遠いほどリスクが高まることには注意しましょう(その分うまく言った場合の利益も大きくなりますが)。
まとめ
今回はオプションの売り手側の話をしました。これでコールの買い/売り、プットの買い/売りと4種のオプションの基本ポジションを網羅したことになります。
AMMを採用したDEXで流動性の提供を行うようにオプション市場でもオプションを提供することで収益機会を得ることができます。多くの場合は利益が出ますが、不測の事態が発生した際には損失を負うという買い手側とは真反対の特徴を持ちます。リスクとリターンを理解して、実際に行うかは別として、1つの別確度での収益のあげ方として是非頭の片隅にでも入れてみてください!
次回のオプション取引勉強会は11月10日 21:00よりCrypto Hiroba内Eventチャンネルにて行われます。
提供:Coincall様