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BTCに裏付けられたステーブルコインを発行する「bitSmiley」

BTCは現物ETFとしてすでに採用されています。さらに、トランプ大統領政権下では、アメリカの戦略的準備金として採用される可能性まで議論されています。これほどまでに金融市場において重要な存在となったBTC。

しかしその特性から、ネイティブBTCのままでは、利回りを生成することも他の用途で利用することもほとんどできません。そんなネイティブBTCでローンを組んだり利回りを生成したりできれば、どれほど役に立つか…。

そんなBTC保有者の希望を叶えるのが、BTCに裏付けられたステーブルコインを発行する「bitSmiley」です!

bitSmileyとは

bitSmileyは、Fintegraフレームワークのもとで構築されたBitcoinブロックチェーンに基づくプロトコルです。分散型の過剰担保型ステーブルコインプロトコル、トラストレスなレンディングプロトコルデリバティブプロトコルの3つのプロトコルから構成されています。これらの連携により、Bitcoinブロックチェーン上に包括的な金融エコシステムを提供し、DeFi分野における機能性と有用性を向上させます。

その中でもメインとなるプロダクトは、BTCに裏付けられた分散型の過剰担保型ステーブルコイン bitUSD です!

bitUSDの仕組み

1.  BTC過剰担保型ステーブルコイン

bitUSDは、BTC過剰担保型ステーブルコインです。

BTC保有者であれば誰でも、BTCを『bitSmiley Treasury』のスマートコントラクトに預けることでbitUSDを発行できます。つまり、流通する全てのbitUSDは、BTCの過剰担保によって支えられています。これらのbitUSDは、貸し借りや流動性提供に利用でき、Bitcoinネットワーク上で幅広い金融活動を実現することに役立ちます。

bitUSDの発行

BTCを預けることにより、bitUSDを発行できます。

なお、発行するbitUSDの量は、各プールに設定されている『Vault Floor』の値を超える必要があります。

bitUSDの返済

『Stability Fee』を支払い、借りたbitUSDを返済することにより、担保として預けたBTCを引き出せます。

2.  ソフトペッグモデル

bitUSDは、1 USDにソフトペッグされたステーブルコインです。つまりその価格は、bitUSDを発行する「売り手」と、返済のためなどの理由で市場から買う「買い手」の需給バランスによって定まります。

3.  担保清算カニズム

各bitUSDが十分に担保で裏付けられていることを保証するため、担保に対する債務の比率(Collateral to Debt Ratio)が規定の閾値を超えた場合、そのプールは清算されます。

下記に示すプールでは、担保に対する債務の比率が85%を超えた場合、そのプールは清算対象となります。

今後の構想

1.  Babylonとの提携により、「利回り付き」のBTC過剰担保型ステーブルコインへ

BTCのステーキングプロトコルであるBabylonとの提携により、利回りを生成するBTCを利用してステーブルコインを発行できるようになることが計画されています。bitSmileyに預けられたBTCをBabylonプロトコルにステーキングし、利回りを生成します。

また、bitSmileyがBabylonプロトコルのLST(Liquid Staking Token)の発行者となり、利回り付きのLSTを担保としてbitUSDを発行することもできます。

これにより、利回りを高めるのみでなく、BTC LSTの有用性と流動性を向上させます。

※Babylon:BTC保有者がサードパーティカストディ、ブリッジ、ラップを必要とすることなく、Proof of StakeチェーンにBTCをステーキングすることを可能にするBitcoinステーキングプロトコル。これにより、Proof of StakeチェーンにBitcoinのセキュリティを提供できる。

2.  ZetaChainとの提携により、ステーブルコインを様々なチェーンへ

ZetaChainとの提携により、ZetaChainのクロスチェーン機能を活用して、bitUSDを任意のチェーンに展開できるようになることが計画されています。

これにより、BTC保有者はネイティブBTCを売却、ラップ、ブリッジすることなくbitUSDを発行し、様々なチェーンで利用することが可能となります。

※ZetaChian:EthereumやSolanaなどのスマートコントラクト対応のブロックチェーンのみでなく、BitcoinやDogecoinのようなスマートコントラクト非対応のブロックチェーンにネイティブにアクセスできる、初のユニバーサルブロックチェーン

3.  bitCowでのLPトークンを担保として、ステーブルコインの発行を可能に

bitCowは、bitSmileyによって開発されたDEXです。このDEXでのBTCやBTC LSTの流動性提供者は、bitUSDを発行するためにそのLPトークンを担保として利用できるようになることが計画されています。

これにより、BTCのステーキングから得られる利回りや、流動性提供から得られる利回りなど、複数の利回りを得られます。

他の暗号資産担保型ステーブルコインとの比較

DeFiは主にEthereumを中心として発展してきましたが、EthereumではネイティブBTCを使用できません。bitUSDの場合は、ネイティブBTCを担保として利用できる点に加え、将来的にマルチチェーンで発行できるようになる点が強みですね!

開発中のプロダクト

執筆時点(2024年11月)では、bitUSD以外に開発中のプロダクトが2つあります。

bitLendingP2Pレンディング

bitLendingは、Bitcoinブロックチェーンに基づく、分散型のP2Pレンディングプロトコルです。Bitcoinブロックチェーンの技術的な制限により、AAVEやCompoundで採用されているPeer-to-Pool型のレンディングではなく、Peer-to-Peer型のローンマッチングメカニズムが採用されています。

クレジット・デフォルト・スワップ

クレジット・デフォルト・スワップとは、ある債務の信用リスクを売買するためのデリバティブ商品です。債務がデフォルトに陥る可能性に備え、買い手は売り手に保険料を支払います。デフォルトが発生した場合は、売り手が買い手の損失を補填します。

このクレジット・デフォルト・スワップは、P2PレンディングであるbitLendingにおいて「保険」の役割も担います。これにより、P2Pレンディングにおけるデフォルト発生時の損失軽減に寄与します。

bitSmileyは、これらのプロトコルを統合することで、Bitcoinのトラストレスかつパーミッションレスという理念に沿った金融エコシステムを提供し、BTCを単なる価値の貯蔵手段からDeFi空間における多目的な交換手段へと進化させていきます!