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メタプラネットのオプション取引を解説

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本記事は2024年10月24日にCrypto Hirobaにて行った『オプション取引勉強会~メタプラネットのオプション取引解説編~』で使用した資料を記事化して、オプション取引を解説するものです。

オプション取引コールオプションとは?編

プットオプションとは?ヘッジとしてのオプション?編

オプションの売りポジション編

オプション取引の戦略まとめ編①

オプション取引の戦略まとめ編②

オプション取引の戦略まとめ編③

オプション取引のデルタ編

オプション取引のガンマ編

オプション取引のベガ編

オプション取引のシータ編

バードコール

目標

今回の記事では、初めてオプション取引について学ぶという方でもメタプラネットの直近の取引を報じる以下の記事が理解できるよう導きます。

過去の記事やオプション取引勉強会を一通り履修している方は、前半部分は復習となります。不要な方は、目次から「メタプラネットの取引」の項目までジャンプしてください。

オプション取引とは

  • ヨーロピアンオプション
    『決められた日に対象のトークンを決められた価格で買う/売る権利』を売買する取引
    『2024年12月31日に3,000ドルで1 ETHを購入できる権利』を購入するなど
    限日でのみ権利の行使が可能な分プレミアム(オプションの市場価格)が安い
    暗号資産市場ではこちらがメジャー
  • アメリカンオプション
    『決められた日までに対象のトークンを決められた価格で買う/売る権利』を売買する取引
    『2024年1月31日までに2,600ドルで1 ETHを購入できる権利』を購入するなど
    期日までの任意のタイミングで権利の行使が可能な分プレミアムが高い

⇨どちらの場合でも買い手側は強制ロスカットが基本的に存在しない

このように、オプションも現物と同じように市場で取引されており、一般的には注文板上での指値での取引が可能です。

この画像内のオプションは、2024年11月29日(厳密には17:00)に 72,000ドルで1 BTCを購入する権利。

コールオプションプットオプション

コールオプションの買い手の計算例

プットオプションの買い手の計算

コール&プットオプション(買い手)の損益チャート

 

オプションの売り手

損益チャートまとめ

メタプラネットの取引

取引①

取引②

普通の人ならプットの売りが安全圏に入ってほっと胸をなでおろすところ、メタプラネットは一旦①のポジションを市場でクローズして、さらに攻めたストライクプライスで再エントリー。限日とポジションサイズは同じ。

キャッシュセキュアードプット

現物が安くなったら買う指値を入れる代わりに、キャッシュを確保したままプットを売る手法

条件:BTCの現在価格=67,000ドル、63,000ドルまで落ちてきたら1 BTCを買いたい。

  1. 現物の板で63,000ドルに買い指値を入れる
    63,000ドルに到達:1 BTCを取得
    もっと下がる:損失
    63,000ドルに到達しない:何も起こらない
  2. 現物の買い指値の代わりに63,000ドルがストライクプライスのプットを2,000ドルで売る
    63,000ドル:63,000ドルで1 BTC購入 + 2,000ドルの利益
    もっと下がる:1 BTC購入 + プットの損失 (①と比較して+2,000ドル
    63,000ドルに到達しない:+2,000ドルの利益

⇨どのような結果になった場合でも、キャッシュセキュアードプットを利用している方が2,000ドルお得になっている!

このように、キャッシュセキュアードプットは非常に魅力的で扱いやすいオプション戦略ですが、当然いくつか注意するべき点があります。

  1. 現物取引とは異なり、ポジションの編集が大変
    現物取引では買い指値をキャンセルすることは簡単ですが、一度売りから入ったオプションを損失が無いままクローズするには購入したとき以上のプレミアムで市場で売った分のオプションを買い戻さないといけません。市場によってはここで損失を被る可能性があります。また、ストライクプライスの変更はもっと大変です。一度市場でオプションを売却して、さらに別のストライクプライスのオプションを購入し直すことになります。
  2. 権利の行使タイミングに自由がない
    現物取引では、想定とは違う市場の値動きをしたときに取引するスケジュールを早めたり、または延期させたりすることが簡単にできます。
    しかし、オプション取引では権利を行使できる日があらかじめ決まっています。
    市場でクローズすることで、利確や損失の確定をすることができますが、例えば現物市場が不利に動いたためにクローズする。といった場合には、オプション自体の市場価格がそれを織り込むために損失の確定を強いられる場合が多くなります。
  3. 証拠金の管理が必要
    現物を買おうとしてた分のキャッシュを確保したままプットを売るので、強制ロスカットが発生する可能性は低いですが、プットを売っているアカウントでそのキャッシュを保管していない場合には強制ロスカットの可能性は急激に上昇します。よって、オプション取引ではしっかりと証拠金を管理する必要があります。

現物取引に比べ、オプションでの取引は自由度に欠けるが、それでも同じ日付で比較するのであればどのシナリオが選択されても上位互換になるキャッシュセキュアードプットは非常に魅力的であると言えます。日付が限定されてても問題なく、それまで何が起きてても安くなってるなら買ってやるぞ!という意思があるのであれば、この戦略は強い味方となるでしょう。

結論

メタプラネットは継続的にBTCを購入し続けている。

今回、安くなったら購入したいと考えたためにキャッシュセキュアードプット戦略を採用。

これにより、「どうせBTCはまた買う」ので、なんにせよお得

①の取引では63,000ドルまで落ちてくるならなんにせよ買おう、と思っているのでこの戦略を取ったが、市場が上向いたことによって "ここまで落ちてきたら買おう" の価格を66,000ドルまで引き上げたことがわかる。

プット売り単体を見ると損しているように見えることがあっても、実は得していることになる…。

なので、相場の上昇に伴ってさらにストライクプライスの高いものに鞍替えしても問題なし。

…とはいえ、度胸とBitcoinへの覚悟がエグい。

提供:Coincall