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オプション取引のデルタ編

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本記事は2024年5月10日にCrypto Hirobaにて行った『オプション取引勉強会~ギリシャ文字編①~』で使用した資料を記事化して、オプション取引を解説するものです。

オプション取引コールオプションとは?編

プットオプションとは?ヘッジとしてのオプション?編

オプションの売りポジション編

オプション取引の戦略まとめ編①

オプション取引の戦略まとめ編②

オプション取引の戦略まとめ編③

ギリシャ文字

ギリシャ文字は、オプション取引定量的にサポートする指標であり、これを理解することでそのオプションのリスクやリターン、また市場をより深く読み取ることができます。

デルタとは

デルタは原資産価格が1ドル変化したときにプレミアム価格(※)がどれくらい変動するのかを表す指標です。

※厳密にはプレミアム価格は市場で決まるのでマーク価格の変動

例えばBTCのあるコールオプションのΔ(デルタ)が0.1の場合、

  • BTCが1ドル上昇するとプレミアム価格は0.1ドル上がる
  • BTCが1ドル下落するとプレミアム価格は0.1ドル下がる

プットオプションの価値は、原資産価格が上がるほど下がるのでΔは常にマイナス

例えばBTCのあるプットオプションのΔが-0.5の場合、

  • BTCが1ドル上昇すると、プレミアム価格0.5ドル下がる
  • BTCが1ドル下落すると、プレミアム価格は0.5ドル上がる

原資産価格が1ドル上昇した際の価格 = 現在のプレミアム価格 + Δ

原資産価格が1ドル減少した際の価格 = 現在のプレミアム価格 -Δ

デルタと原資産価格

コールのデルタは0~1、プットのデルタは-1~0で推移します。

例えばストライクプライスが70,000ドルのBTCのコールオプションを買ったとしましょう。原資産価格が75,000ドル、80,000ドルと上がっていくほど、70,000ドルを割ってOTMで限日を迎える可能性は落ちていきます。

ITMの場合、 "原資産価格-ストライクプライス" が最終的な利益になるため、原資産が上がってATMになる可能性が0に近づくほど、原資産価格が1ドル変動する際のコールオプションの価値の変動も1ドルに近づくのです。

逆にストライクプライスを割って、さらに落ちていくとオプションを行使できない可能性が高まっていき、オプションの価値は0に収束していきます。そのため、この場合はプレミアム価格ととともにデルタもまた0に収束していきます。

よって、コールでは原資産価格が上がるほどデルタは1に収束し、下がるほど0に収束します。同様にプットでは原資産価格が下がるほどデルタは-1に収束し、上がるほど0に収束します。

  • ATM(At The Money):原資産価格=ストライクプライス の状態
  • ITM(In The Money):買い手が利益が出る状態
    コールなら原資産価格>ストライクプライス、プットならストライクプライス>原資産価格
  • OTM(Out of The Money):買い手が損失を出す状態
    コールならストライクプライス>原資産価格、プットなら原資産価格>ストライクプライス

⇨お金が"入って"くるからINは嬉しい、お金が"出ていく"からOUTは悲しい!って覚えるとわかりやすいかも...!

参照:https://zerodha.com/varsity/chapter/delta-part-2/

デルタと限日までの残り時間

デルタはそのオプションの残存時間によっても変動します。

例えば、ストライクプライス70,000ドルのBTCのコールオプションを持っているとします。現在、BTCは75,000ドルで残り1秒で決済されるとしましょう。

たった1秒の間に70,000ドルを割る可能性は限りなく0%に近いでしょう。そのためデルタも限りなく1に近づきます。65,000ドルであれば限りなく0に近づきます。

逆に限日まで残り1年もあったらいかがでしょうか。1年後に5,000ドル落ちていることは十分にあり得ます。よって、デルタはそれだけ1に収束しづらくなります。

このようにしてデルタはそのオプションの残存時間が短いほど、±1や0に収束しやすいという特徴をもっています。

参照:https://www.linkedin.com/pulse/options-trading-ii-delta-versus-time-maturity-pierino-ursone/

デルタと変動率

例えばIV(※)の値が高い=大きく変動する可能性が高いとせっかくITMにいても、OTMに転落してしまう可能性が比較的高まります。

※IV(インプライドボラティリティ)とは、実際のオプション取引価格を参照して計算される原資産の変動率の指標。0~100%で表わされる。

逆にOTMの状態でも、変動率が大きければITMになる可能性も高まります。

逆にIVが低い=あまり変動しない可能性が高いのであれば、留まる可能性が高まるといえるでしょう。

よって、プレミアム価格の変動を表すデルタとIVの関係性は以下図のようになります。

コールでは、変動率が大きい方が1に小さい方が0に収束しやすくなっています。

参照:https://www.optionseducation.org/advancedconcepts/delta

デルタと勝率

デルタは原資産価格が1ドル動いた際にどれくらいそのオプションのプレミアム価格が変動するかを示す指標です。

さらに、デルタと原資産価格、限日までの残り時間、変動率の関係性を見ると、共通してデルタ自体はそのオプションがITMで限日を迎えるかどうかの可能性に応じて上下しています。

例えばコールではそのオプションを持っていると利益を得られる可能性が高まるほどデルタは近づき、可能性が低くなるほど0に近づきます。そしてATMでは、ランダムウォークを前提にするとOTMになる可能性とITMになる可能性が1:1になるためデルタは0.5になります。

よって、デルタの絶対値(※)自体をそのオプションの勝率のおおよその指標とすることもできるのです。

※絶対値とは数値から符号(プラスやマイナス)を除いたもの。+1も-1も絶対値は1である。

まとめ

オプション取引勉強会は新章のギリシャ文字シリーズへ突入!

オプション取引のリスクやリターンの感覚がなく、触りづらかった方にこそギリシャ文字を学ぶのはおすすめです。

オプション取引勉強会は現在Crypto Hirobaにて月2回のペースで開催されています。

初心者の方大歓迎!是非気軽に遊びに来てください!

提供:Coincall様