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灯篭による仮想通貨にFXに株をハックする投資のあれこれ、ときたま脱線

カバードコール戦略

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本記事は2024年7月24日にCrypto Hirobaにて行った『オプション取引勉強会~カバードコール~』で使用した資料を記事化して、オプション取引を解説するものです。

オプション取引コールオプションとは?編

プットオプションとは?ヘッジとしてのオプション?編

オプションの売りポジション編

オプション取引の戦略まとめ編①

オプション取引の戦略まとめ編②

オプション取引の戦略まとめ編③

オプション取引のデルタ編

オプション取引のガンマ編

オプション取引のベガ編

オプション取引のシータ編

カバードオプションとは

カバードオプションとは、現物資産とオプションの売りを同時に取引するストラテジー

バードコールとカバードプットの2種類が存在します。

多くの証券会社ではカバードコールオプション取引で最もリスクの低いものとして挙げられています。

参照:https://www.projectfinance.com/options-trading-levels/

バードコールの例

ETHの価格が3,400ドルのとき、1  ETHを保有しながら、3,700ドルがストライクプライスの1 ETHのコールオプションを80ドルで売るとします。

限日にETHが3,400ドル以上3,700ドル以下の場合、現物が利益を出し、オプションが80ドルの利益を出します。

3,700ドル以上の場合、300ドルの上昇分を除いた現物の利益とオプションの損失が相殺するため利益は固定で300ドルになります。

ただしオプションを売っていなければそれ以上の利益を得ることができたため機会損失を被ります。

3,400ドル未満の場合、現物がその分の損失を出して、オプションが80ドルの利益を出します。

ただしもともと保有するつもりだった現物であれば、いづれにしても被っていた金額なのでそれに比べれば80ドル分得します。

バードコールの例②

1 BTCを保有しながら2日後が限日のストライクプライスが69,000 USDTのコール250 USDで売る。BTCの現在価格は65,937 USDT。

バードコールって本当にリスクが低い?(私見

「低リスクで安定的に利益を得ることができる。」と一般的に称されるカバードコールですが、本当にそうでしょうか? もう一度、整理してみましょう。
ここではBTCを例にし、現在価格を66,000ドル、ストライクプライスを69,000ドル、プレミアム価格を200ドルとします。

  1. BTCを保有していくことが前提
  2. BTC<65,800:”なんにせよ保有していたBTC” なのでオプションの利益分得
    ⇨目線: 法定通貨建てよりBTC建て
    ⇨結果:BTCの保有量は変わらないが、法定通貨建てで減少
  3. 65,800<BTC<69,200:現物とオプション両方で利益が出る
  4. 69,200<BTC:現物の利益と相殺されるので問題ない
    ⇨目線:BTC建てより法定通貨建て
    ⇨結果:BTCの保有量が減少するが、法定通貨建てでは変わらない

2と4ではトレーダーが何の資産目線で利益を得ようとしてるかが明らかに矛盾しています。

複雑な矛盾の解消

条件:BTCの現在価格=66,000ドル、ストライクプライス=69,000ドル、プレミアム価格=1,00ドル

目線により損益分岐点が違い、どちらにも利益が出るパターンと損失が出るパターンがあります。

どちらも損失は無制限であることに対して利益は限定的です。

これを混同して、カバードコールにはリスクが無いとする人や記事、金融機関(こいつは多分わざと)が散見されるので要注意。

まずは自分の目的、正しいリスク/リターンを認識してからカバードコールを検討しよう!

バードコールの損益チャート

法定通貨建てでみる時の損益チャート

参照:https://accessibleinvestor.com/what-is-a-covered-call/

バードコール指値売りの代わりに

条件:BTCの現在価格=66,000ドル、USDを増やす目的で1 BTCを保有

1 BTC69,000ドルで売ろうと指値を入れる

69,000ドルに到達:3,000ドルの利益

それ以上上がる:3,000ドルの利益(機会損失)

69,000ドルに到達しない:含み益、または含み損

この指値の代わりに69,000ドルがストライクプライスのコールオプション1,800ドルで売る

69,000ドル:4,800ドルの利益(最大利益)

それ以上上がる:4,800ドルの利益(機会損失)

69,000ドルに到達しない:含み益、または含み損(①と比較して+1,800ドル

「ここまで上がったら売る」にはカバードコールが有用

指値買いの代わりには?(キャッシュセキュアードプット)

条件:BTCの現在価格=66,000ドル

1 BTC63,000ドルで買おうと指値を入れる

63,000ドルに到達:1 BTCを取得

もっと下がる:損失

63,000ドルに到達しない:何も起こらない

この指値の代わりに63,000ドルがストライクプライスのプットを1,100ドルで売る

63,000ドル:63,000ドルで1 BTCを取得可能 + 1,100ドルの利益(最大利益)

もっと下がる:損失 (①と比較して+1,100ドル

63,000ドルに到達しない: 1,100ドルの利益

「ここまで下がったら買う」にはキャッシュセキュアードプットが有用

提供:Coincall様